講演内容・動画
基調講演 1
「社会正義と保健政策」
サー・マイケル・マーモット
世界医師会元会長、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン疫学教授
諸国間には健康について厳しい不平等が存在する。多くの国々では、社会の上層から下層に向かって健康の社会的勾配が存在するのみならず、こうした不平等は増大しつつある。 健康の公平性がわれわれに示していることは、社会に根差す何かとそれが社会の構成員を豊かな生活に導くための条件を生み出す度合である。SDH(健康の社会的決定要因)に関するエビデンスを検討すれば、次の各事項について格差が生ずる状況が分かる。それは、小児期早期における発達、教育、雇用および労働条件、健康な生活を送るための十分な収入を得ること、生活し働くための良い環境条件、および予防のためのSDH を使ったアプローチである。エビデンスによれば、無力化が明確に表れたコミュニティでさえ、SDH に対するコミュニティの行動は顕著な格差を生み出すことがあり得る。