講演内容・動画
講演 1
「IT革新、システム、社会革新:PeOPLe(患者・国民を中心に保健医療情報をどこでも活用できるオープンな情報基盤)」
宮田 裕章
慶應義塾大学 医学部医療政策・管理学教室 教授
ICT においてはAI、IoT など個別技術のイノベーションが注目されがちであるが、それら技術群を俯瞰的に捉えて、限界を踏まえた上で、テクノロジー群を活用して何が実現出来るのかを考える必要がある。Personcentered open Platform form for wellbeing (以下、PeOPLe)という考え方で個人を軸に情報を集めることによって、企業や行政、学会などの壁を越えてデータを活用することが可能となる。また急性期病院や在宅介護、本人自身による健康管理と生活のデザインなど様々な状況で、関係者が活用することが可能となる。ただし健康やwellbeing を継続的に高める取り組みを行う上では、単にテクノロジーを活用して漫然と情報収集するだけでは不十分である。個々の取り組みが、人々の価値を実現出来ているかどうかを評価し、得られた情報に基づいて PDCA サイクルを回すことが不可欠の条件となる。国境を越えたデータ共有と連携分析は、国境を越えた対策が必要な感染症や、1国では十分な分析サンプルが得られない希少疾患対策においては直ちに価値をもたらすものである。ただPeOPLe というコンセプトの下で個人を軸に情報を共有することにより、国境や組織の壁を越えて医療・サービスを提供することが可能となる。これにより今後は慢性疾患の診断・治療や、社会システムの設計においても、課題解決の共創を行っていくことがより重要な枠組みとなっていくであろう。