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講演内容・動画

講演2

「運動グループへの参加による健康長寿効果」

近藤 克則

千葉大学予防医学センター社会予防医学教授

運動をはじめとする健康行動や健康状態と関連する社会的要因の解明に取り組んできた。10万人超の高齢者が回答したJAGES(Japan Gerontological Evaluation Study, 日本老年学的評価研究)の到達点を紹介する。

1)多くの指標で地域間に健康格差が見られ、地域グループへの参加率との間に弱い~中等度(ρ=-0.3~0.6)の負の相関を示した。4年間の縦断研究によって、2)8種類の地域グループ中、運動グループの介護予防効果が最も大きく、3)週1回以上運動している者のうち、運動グループ参加者に比べ、非参加群で要介護リスクが1.29倍高かった。4)グループ参加による上乗せ効果の機序として心理社会的な経路、5)運動グループへの参加率が高い地域では男性のうつが少ないと言う波及効果、6)公園などの地域環境が運動実施頻度などを高める可能性などが示唆されている。

個人にのみ着目した研究だけでなく、グループ活動による効果、オリンピック・パラリンピック開催などの社会環境が運動行動に及ぼしうる影響などが新しい研究課題になりうると思われる。