講演内容・動画
セッション
「自殺対策:働きざかりの自殺」
崎坂香屋子
国立精神・神経医療研究センター 自殺総合対策推進センター(武見フェロー)
我国は1998年以降自殺者が急増し14年連続で年間自殺者数が3万人を超えていた(最多は2003年の34,427人)。その後は徐々に減少に転じ、2016年には21,897人となった。1998年から2009年までの急増期には「経済・生活問題」を背景とする男性45・54歳群、55-64歳群が自殺の多数を占めた。2006年の自殺対策基本法制定後、消費者・金融の規制強化、多重債務の統合、相談窓口の設置を含む自殺緊急対策プラン、が自殺者数の減少に効果があったと考えられている。2016年には自殺対策基本法が改定され、地域自殺対策の取り組みを強化する施策や恒常的に予算も確保されることになった。の交付金化が盛り込まれた。その結果、我が国は10年間で自殺者数を23%減少させた。しかし先進7か国で15-39歳の層の死因の第I位が自殺なのは日本だけである。過労自殺や20歳未満の自殺対策強化が求められている。 1997年の自殺率を1.0とすると他年齢層は減少しているが10代の自殺率は突出している(2015年= 1.5)。生徒児童に周囲の3人の信頼できる大人に助けを求めよ、とするSOSの出し方教育」の取り組みも開始しているが順調とは言えない。自殺や事件に繋がるSNSの監視も急務であるが地域ベースの取組、民間を含めた自殺対策の人材増加講演4が重要である。