講演内容・動画
セッション
「台湾の遠隔地農村部における高齢者と若年者へのケア:少子高齢社会の課題」
ロー・ティン・リン
中国医薬大学公衆衛生学院労働安全衛生学部助教授(武見フェロー)
マイケル・ライシュ
恒春キリスト教病院院長(武見フェロー)
台湾では1993年から高齢化が進行し、2018年には高齢社会に突入している。一方で人口減少も顕著であり、2017年の出生率は1.13と、世界第3位の低い値を記録した。従って、今後は医療ケアのニーズの高まりと人材不足が想定される。この問題に対処すべく、台湾政府は、2007~2015年の聞に実施されていた「長期介護1.0(LTC 1.0) Jをふまえ、長期介護の項目とサービス受給者の対象を拡大した「長期介護2.0(LTC 2.0) Jを2016年に導入した。しかしながら、現時点で医療に割り当てられている資源は、財政面においても人材面においてもニーズに比べてはるかに少ない。この需給ギャップは遠隔地において甚だしく、遠隔地の人々は社会経済的に不利益を被っている。本プレゼンテーションにおいては、上記の課題について述べ、台湾最南端の恒春半島にあるキリスト教病院での経験を基に、我々が実際に行った対策について紹介する。この活動には、病床数45の病院1ヶ所とデイケア・センター2ヶ所の運営、150名の独居老人への食糧提供、恵まれない家庭の子供300人に食事を提供するための12回にわたる活動支援、家庭内暴力や性的虐待に苦しむ弱い立場の女性への医療サービス提供などが含まれる。