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講演内容・動画

セッション

「韓国の産科医療が行き届いていない地域に対する助成金制度の有効性」

ジューワン・オウ

ソウル国立大学医学部・国際保健政策・管理学部教授(武見フェロー)

-背景ー 韓国では出産率が減少しており、それに応じて出産施設数も減ってきている。出産施設が存在しない地域が指加すれば、そこに住む妊産婦にとっては健康上の脅威となりかねない。そこで韓国政府は、30%以上の妊産婦が60分以内にアクセスできる出産施設が全〈存在しない地域に対して助成金を支給し、出産施設を新たに設立する取り組みを始めた。そして2011年から現在に至るまでに、14の地域がこの恩恵を受けている。 -検証方法- この助成金制度の有効性について、別の都市へ出向かない、居住地域における分娩と産前ケアサーピスの利用率をアクセス向上指標として検証した。加えて、産前ケアサービスの利用率と妊産婦死亡率を、妊産婦医療サービスの品質指標とした。2015年版国民健康保険データペースに基づいて、サービス利用に関する地域差及び個人差に基づく要因について調整を行った上で、マルチレベルのロジスティック回帰分析を行い、助成を受けた地域と受けていない地域との聞で、妊産婦ケアサービスの利用状況とその効果を比較した。 -結果ー 個人及び地域環境の遣いによる共変数についての調整後、助成を受けた地域に住んでいる妊産婦は、受けていない地域の妊産婦に比べて、分娩もしくは産前ケアサーピスを居住地域で受ける割合が高いことが示された。また、助成を受けた地域においては、産前ケアサーピス受診の回数が増え、妊産婦死亡率も低くなっていた。 -結論・ 助成を受けた地域はもともと出産環境が整っていなかったところである。それにもかかわらず、助成を受けていない地域に比べて、助成を受けた後、妊産婦ケアサービスの利用とその効果において好ましい結果が得られた。産科医療が行き届いていない地域で妊産婦ケアサービスへのアクセスを向上させる上で、この助成金制度は効果的である。